白内障
白内障
眼の「ひとみ」(瞳孔)の後ろにある透明な水晶体(カメラのレンズに相当するもの)が白く濁ってくる病気です。水晶体(レンズ)が濁ってきますので視力は少しずつ悪くなってきますが、充血とか痛みは全くありません。また、伝染するものでもなく、遺伝性のものでもありません。
白内障には、いくつかの種類がありますが、一番多いのは老人性白内障で、白髪や老眼などと同じように中年過ぎの老化現象として起こってきます。白内障は進行すると失明する疾患で世界ではいまだに失明率トップの眼科疾患です。
白内障は一種の老化現象であり、ご高齢の方ほど多く発症します。ただし、白内障と診断されても水晶体の濁りの程度や進み具合は個人差がございますので「すべての方がすぐに手術が必要」ということではありません。
視力低下が軽度である場合は点眼薬により白内障の進行を遅らせます。ただし、点眼薬は白内障の進行スピードを遅らせるもので、症状を改善したり、視力を回復させたりすることはできません。そのため白内障が進行し、日常生活に影響が及ぶようになれば手術療法が必要となります。
濁った水晶体を除去し、透明な人工のレンズ(アクリル樹脂などでできた人工水晶体)に置き換える手術が白内障手術です。濁った水晶体は超音波の振動によって細かく破砕(乳化)し吸引して除去します。
これを超音波水晶体乳化吸引といい、この術式では切開する創口が小さく(3mm以下)、術後の乱視や感染症リスクを軽減することができます。近年、白内障手術の安全性は向上しており当院では日帰りで手術を行っています。また手術時間は15分程度で点眼麻酔などの局所麻酔で手術を行うことができます。
単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズの2つのタイプがあります。人の目は近くにも遠くにも焦点を合わせられる仕組みになっていますが単焦点眼内レンズは、いずれか一方の焦点にしかピントを合わせることができません。
手術後も近視用の眼鏡や老眼鏡で矯正する必要があります。ただし単焦点レンズは保険診療で扱える⼀般的なレンズであり見え方も鮮明で経済的負担も少ないといえます。
一方、多焦点眼内レンズは遠近両方にピントを合わせることが可能です。近くと遠くにピントが合う2焦点タイプ、さらに中間距離にも焦点が合う3焦点タイプがあります。
よく聞かれる宣伝として「眼鏡が不要になる」という文句がございますが、全ての方が眼鏡が完全に不要となるわけではありません。また、保険適用外となるため経済的負担が大きいといえます。
眼内レンズは手術後のライフスタイルに合わせて最適なものを患者様ご自身に選んでいただくことが大切です。検査だけで決めるのではなく、どのような見え方をご希望されているかをじっくり伺ったうえで選択肢を提案させていただきます。
※現在当院では多焦点レンズを取り扱っておりませんので、多焦点レンズをご希望の患者様には対応可能な医療機関を適宜ご紹介させていただいております。